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本来なら水曜日担当で、しかも前回、関西出張の続きを書くと予告までしていましたが、どうしても皆さんにお知らせしたいことがあって、急遽曜日と内容を差し替えさせていただくことにしました。
本誌「伝言板」でも既に告知していますが、のりもの絵本画家として多大な功績を遺された木村定男氏の原画展が、今日から2週間、新宿のギャルリー・トラン・デュ・モンドで開催されており、早速見学させていただき、いち早くレポートしたいと思ったのが今回の趣向です。
鉄道趣味の原体験が、親から与えられた絵本や玩具であったという方は、おそらく大多数を占めると思います。ですから、木村氏の名前は知らなくても、30代から60代までの方ならば、その作品を必ず目にしているはずです。画家生活50年余で、描かれたのりもの画は2000点にも及ぶとのことです。しかしながら「子供向け」という理由からか、その作者の名前が大きくクローズアップされることは稀です。これはのりもの画に限ったことではなく、絵本全般にいえることだと思いますが、失礼ながら木村氏のことは僕も以前は知りませんでした。絵を見れば一発で記憶が蘇るのですがね。
そんな「影の功労者」にスポットを当てたのは、本誌でも度々素晴らしい模型のコレクションを披露してくださっている関田克孝さんでした。関田さんは絵本や絵葉書のコレクターとしても著名であり、木村氏の作品を“のりもの絵本木村定男”(フレーベル館発行)という2分冊の画集としてまとめ、再度世に送り出したのです。そして好評を博し、2007年度より鉄道友の会が新たに制定した“島秀雄優秀著作賞”の第1回受賞作に選定されました。今回の原画展は、それを記念して開催されることになったものです。ごく一部ですが、その模様をお目にかけます。
今回展示された作品は50点余。絵本の原画だけでなく,油彩画,水彩画もあります。見覚えのある絵の前に来ると、思わず「あっ!」と軽く興奮してしまいますね(笑)
もっとも大きい30号の油彩画“出庫前”。鉄道博物館に収蔵されている作品ですが、今回特別展示となりました。右は若き日の木村氏の写真です。
こちらは東武博物館の開館に際して制作されたポスター。対向面に原画も多数展示されています。それまでの作風とは異なり、実寸に即した精密イラストとなっているのが特徴です。館長の花上嘉成さんも来場されており、お話を伺うと「これらは最晩年の作で、スペーシアもお願いしていたが、間に合わなかった」とのことでした。

もちろん絵本も多数展示されています。C62やEF58、151系や80系が大多数を占める中にあって、クハ79-920や京成の初代開運号が表紙に選ばれているものもあり、妙に感激してしまいました。
前述の文中で「30代から60代まで」と限定したのは、これ以降の子供向け絵本では、童話はともかくも、のりものなど実物が存在するものに関しては写真に取って代わられ、実際には絵本ではなくなってしまったからです。絵本の良いところは、実在しない風景でも自由に描けるので、非常に夢が持てること。そして特徴的な部分をより強調して描くこともできるので、より強烈なインパクトを見る者の記憶に刻み込めることだと思います。よくよく考えたら、これって我々が作る模型と同じではありませんか!!
情報量が多い現在では、リアルであることが当たり前になっていますから、もうこういった絵本や、それを描く画家も、今後は現れないでしょう。しかし、僕が長く模型を続けてこられたのは、情報としてはいささか不十分であるけれど、優しく暖かみのある絵本によって、想像力を育まれたお陰だと思っています。そういう意味では、これは単なるノスタルジーではなく、現在進行形なのですよね。今回、初めて木村氏の原画に触れる機会を得て、40年ぶりに新たな刺激をもらったような気がします。
開催期間は6月14日まで。週末も2回ありますよ。皆さんもぜひ足をお運びください!
木村定男氏について、もっと知りたい方はこちらへ・・・
鉄道画家・木村定男の公式ホームページ
http://www7a.biglobe.ne.jp/~s-kimura/
木村定男“のりもの絵本”の世界展
日時:5月31日(日)~6月14日(日)
11:00~18:00(最終日は16:00まで)
会場:ギャルリー・トラン・デュ・モンド
新宿区歌舞伎町2-46-5 KM新宿ビル9F
(西武新宿駅北口の目の前のビル)
TEL03-5273-4557
主催:木村満子 SADAOSTATION
後援:株式会社フレーベル館
監修:関田克孝
追記:この記事が当ブログの100回目。やったー!キリ番だ!などと喜びつつ、次回は水曜日に戻って、前回予告した記事を書こうと思います。



月刊とれいん No.429
レイル No.75
